「治すこと」ではなく「治る身体」をつくる 和整體

意を決して、月に一度東京で開催される和整體のスクールに通い始めた私は、とても充実した日々を送っていました。
新しいことを学ぶ楽しさはもちろん、同じような考えを持つ仲間との交流は、とても刺激的なものでした。
当時、職場などでは自分の病気や思いを打ち明ける勇気がありませんでしたが、スクールではすべてをオープンにすることができました。
病気になった自分を「特別な存在」だと思っていましたが、次第にそれは「ひとつの貴重な経験」へと変わっていったのです。
和整體では、日本古来の「手あて」の考え方をもとに、身体の奥深くにある“治る力”を引き出していきます。
内臓や頭蓋骨へのアプローチは、本当に繊細な手の感覚と意識が必要で、とても難しい。
受講生同士でお互いに施術をし合うようになると、身体に対する感覚が変化し始めました。
自分の体調の、ほんの微細な変化がわかるようになったのです。
「今日は体が軽いな」
「なんとなく、肝臓のあたりが重いな」
これまでは、肩こりがひどくなり首が回らず、車のサイドミラーが見えなくなって初めて「まずい!」と気づいていました。それが、「なんとなく調子が悪いから、今日は早めに休もう」と、早い段階で身体を整えられるようになったのです。
これは些細なことかもしれませんが、私の生活にとっては、とても大きな変化でした。
そして、気がつくと体調はどんどん良くなっていきました。
人は本来、自分で治る力を持っています。
けれど、その力を発揮できない生活や考え方の中で生きている。
自分の身体の声を聴き、早めに対処できれば、もっと多くの人が健康になれる。
それが、和整體なら実現できる——。
そう思うと、自然とワクワクしてきました。
また、
「型にはめるのではなく、患者さんの“今”の状態に触れて把握し、最適な方法を考えてアプローチする」
という教えは、「効率」や「結果」、「正しいやり方」ばかりを求め、常に“正解”を基準にしていた自分の考え方を見直す、大切なきっかけにもなりました。
和整體の学びを深めるうちに、
・自分の健康は自分で守れること
・思考よりも、身体の声を聴く感覚を大切にすること
これができれば大丈夫!と、心から思えるようになりました。
そして、これまで心を捉えて離さなかった「再発への恐怖」は、静かに消えていったのです。
和整體を通して、家族や周囲の人を幸せにしたい。
そんな想いが自然と芽生え始めました。
これが、病気になってから10年の歩みです。
今は、この小さな決意が、皆さまの幸せへとつながっていくことを信じて、進むのみです。
2025年
和整體の活動、はじまります。
この10年は、病気と向き合った時間であると同時に、
自分の身体と、人生と、対話を続けた時間でもありました。
和整體は、そこから生まれた私の原点です。

